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22/23 CL 1st PSG対バイエルン

2分 check point

・バイエルンの攻撃のセッティング

 オランダ×スペインを融合させたと考えられる3−1−3−3を採用。ピボーテと両サイドに釘を刺して6人をローテーションで攻撃に参加させるシステムは欧州でも稀な形である。


3分 check point

・バイエルンの守備のセッティング

 ドイツ×イタリアを融合させたと考えられる3−2−3−2を採用。今季は攻撃のシステムで3−2−3−2を採用するチームは多いが守備でこのシステムを採用しているのは稀。ハイブロックから組織化された4列の守備は選手間の距離が一定に保たれており隙がない。


5分 up set point

・コマンとシュポモティングに右サイドを抑えられて縦に上がれないハキミ

 試合開始から右サイドのハキミの攻撃参加を抑えられたPSG。ハキミが高い位置を取ろうとするとシュポモティングがハキミの裏にローテーションで入ることによりハキミの攻撃参加を抑えられる。


12分 turning point

・ハキミの動きを徹底的に抑えるバイエルンの攻撃

 右サイドをロックしたバイエルンに対してハキミが攻撃参加を試みるが、組織化されたゲーゲンプレスから上がったスペースを狙われる。ここからハキミが攻撃参加を諦める。


14分 up set point

・セルヒオ・ラモスのコンドクシオン

 右サイドを抑えられたPSGだがセルヒオ・ラモスが個人判断で縦にコンドクシオンを仕掛けて攻撃の流れを引き寄せる。しかし周りのサポートが遅くバイエルンのブロックを解除できない。


21分 turning point

・セルヒオ・ラモスのコンドクシオンを抑えるナーゲルスマンの采配

 個人技で攻撃の流れを引き寄せようとするセルヒオ・ラモスのコンドクシオンにナーゲルスマンは素早い対応を見せる。ザネをセルヒオ・ラモスの前にゾーンを張ることで攻撃参加を抑える。ザネに守備のタスクを増やす替わりに攻撃ではフリーポジションをこの時間帯から与える。試合の流れと選手の管理を同時行う質の高いコーチングが伺えた。


ハーフタイム turning point

・選手交代

バイエルン

カンセロ→デービス

PSG

ハキミ→キンペンペ

 ザネにフリーポジションを与えたナーゲルスマンの次のオプションは両サイドを固定してセンターエリアのローテーションを採用。

 ハキミを抑えられたPSGはキンペンペを投入して守備システムを5−3−2に変更。最初の明暗がこの変更で訪れる。


51分 tidal point

・守備を修正しきれないPSGの失点

 3バック+2バックの5バックを採用したいPSGだが右サイドの守備が整わない。対するバイエルンは両サイドを固定することによりPSGの中央をローテーションで攻略する。サイドの固定に入ったデービスからコマンが得点を奪う。中央を動かしサイドから攻撃をするバイエルンのハイスペックな攻撃が成功する。


56分 turning point

・PSGの選手交代

ソレール→ムバッペ

ザイール→ファビアン・ルイス


60分 tidal point

・攻撃のシステムを4−3−3に変更

 ファビアン・ルイスを左サイドに置き、ムバッペと縦の関係で起点を作るPSG。しかしこのシステム変更でメッシが右サイドに入ることになるがフリーポジションにメッシが動くため左サイドに攻撃が偏りバイエルンの守備を崩せない。


74分 turning point

・PSGの選手交代

ペレイラ→ヴィティーニャ

 右サイドが機能しないPSGが中盤のペレイラがヴィティーニャと交代。このランダムな交代によりマルキーニョスにガルティエが右サイドの修正と攻撃のシステム変更を指示。


79分 check point

・アシメントリーになるPSGの3−2−2−3の攻撃システム

 左サイドのファビアン・ルイスの起点はそのままにして右ワイドにヴィティーニャ、センターにムバッペ、左ワイドにメンデスを上げる。中盤をヴェラッティを底にしたネイマールとメッシでトライアングルを作り、ファビアン・ルイスが左サイドで攻守のバランスを取るために釘を打つ。

 この攻撃的なシステム変更が残り約10分間、PSGがこの試合で初めて試合の主導権を握る。


review point

 アカデミックなサッカーシステムでは今季最も優れていると考えられるバイエルンのサッカースタイル。多少の属人性はあるもののシステムの中で選手が機能的に動いている。


 対するPSGは属人性が強いため、1箇所が抑えられると全体のリズムが崩れるのが早い。最終的には属人性を最大限に活かすアシメントリーな攻撃システムを採用することで試合の主導権を握ることができたがリスクも大きかった。


 シナリオ通りに試合を進めたバイエルン。アカデミックなバイエルンのサッカーにハイブリットが抑えられたPSG。試合内容はCLにおけるベスト4のレベルにある。


 このレベルで勝敗はどこで決まるのか?


 1st legではアナライズで差が出た。


 1点差の2nd legでは何が勝敗を決めるのか?


 アカデミックか?

 ハイブリットか?

 アナライズか?

 リスクマネジメントか?


 そんな期待を抱かせる1st legの試合内容であった。

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